2.内海清美氏 講演会レポート
7月5日(土)川之江市の愛媛県紙産業研究センターの於いて、和紙彫塑家の内海清美先生の講演会が行われた。デザイン協会会員、デザイン学校学生、地元紙関係業者らが会場いっぱいに集まり、内海先生のお話に聞き入り、また、作品のスライド、多摩市の源氏物語館のビデオを楽しんだ。講演会のテーマは『芸術と素材』で川之江を始め四国の和紙で作品を作り続けておられる先生のお話が地元でお聞きできることは、特に紙産業関係者には、ありがたいことであった。
和紙の彫塑家による空間物語芸術と称される内海先生の作品群は、人型、小道具、背景、照明、音楽の5本立てで成り立つという。作品は全て頭から作り始めるが、それぞれ、和紙の特性を生かし、動きをつけるだけでなく、内面性を表現する。和紙は、使い勝手がよく、精神統一して作品を作るが、作り易い(但し一発勝負)ので群像化しやすい。人型をたくさん作ることによって付加価値の弱さを克服できたという。
先生の作品は、白もしくは晒で構成されるが、それは素材感を一番生かす方法であり、また、白い造形物はご覧になる方が色をつけることができるという。文学はイマジネーションの世界だが、書物を立体の文学にしたいという先生の思いが、現在の形であるという。また白は日本の美意識の象徴であり、不足の美、ものの哀れ、無情感、わび、さび・・・・・といったものを表現できる。
和紙は、人の手を介し、水と係わる素材である。水と対決しながら漉く漉人の精神や肉体状況が紙に反映される。文明が進んで忘れられたものが、和紙にはある。もう一度今、和紙を見直してみないといけないのではないだろうか。手漉き和紙、手漕ぎ水引・・・・・・作るプロセスから漉き手、漕ぎ手の心を知り、それらの体験が意気込み、魂を感じあえるものにする教育が必要である。
最後に紙産業研究センターの研究交流棟のエヒメデザイン協会と地元小中学校の子どもたちとの水引のコラボレーションの作品に触れ、子どもたちが無意識に見立てを行っていること、見立ての世界を作り出しているとお褒めいただいた。子どもの一生懸命さが作品のすばらしさになっている、技術は勿論大切だが、生命力の投入の仕方というようなそこから先のものが大切である。この取り組みに専門的な方の力が加われば、もっともっとすばらしいものになると、エールをいただいた。
(有高 智佳代)

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